僕は他の先生や生徒達ほど長い付き合いではなかったから、他の皆の事を考えると、おこがましくはないかと迷った。
けど、一年間付き合ってきた生徒だし、やっぱり自分自身納得して、忘れない為にも記しておくことにする。
第一印象は、変なコだった。
採用前の授業見学で、「この人誰ですか。」って言われたのを覚えてる。
センスも技術もあるのに不器用で、落ち着きがなくて、でもベースが大好きだった。
好きな音楽の話を聞いた時の「メタルはキライです。」も印象的だったな。
Bマス決勝進出を決めた日、おめでとうと言ってあげた。
「もう大丈夫です。」
多分これがちゃんとした最後の会話だったと思う。
君が旅立った昨日。
偶然にも、君の恩師が主催で、出演者の殆どが学校関係者で、君のいた学校でのイベント。
僕は運命としか思えてならない。
ちゃんと全部見てくれただろうか。
皆の思いは届いただろうか。
君が心の底から尊敬してる恩師が君のベースを弾いて、一緒にステージに立った。
君が一番やりたいと言っていた音楽をやった。
皆で写真を撮った。
皆で泣いた。
こんなに沢山の人に愛されてたじゃないかって。
一人じゃなかっただろって。
流石に安心できるだろ。
そっちでは自信持っていいベーシストになってくれな。